先日、 「福岡で起業した方がいい5つの理由!」 を紹介したばかりですが、これから福岡で起業しようと考えている方に向けて、メリットばかりではなく、しっかりと事実もお伝えさせていただきたいと考え、福岡での起業シリーズ第2弾としました!

「福岡 起業」と検索すると、ほとんどのサイトにおいて“メリット”に焦点がおかれており、“デメリット”については触れられていない場合がほとんどです。しかし、実際に地方で起業を考えている方にとっては“メリット”とばかりでなく、“デメリット”も考慮に入れて創業地を選びたいと考えられている方がほとんどではないでしょうか。

私も、創業の地を福岡に選び、東京から移住した身として、主に東京と比較した現実の福岡を、5つの理由にまとめてご紹介いたします。

1. 東京開催のイベントが多い

当たり前のことですが、福岡ではいわゆる海外のユニコーン企業の創業者や技術者による講演を聴ける機会はほとんどないといっても過言ではありません。 東京であれば、世界が注目するスピーカーが招かれその講演を聴く機会が多くあります。

もちろんこれは福岡に限った話ではなく、東京以外の国内都市ではこうした機会が少ないといえます。

スタートアップにとって、情報収集や出会いの場は非常に重要なビジネスの場の一つです。ネット上や周りのコミュニティだけではなかなか得られない貴重な情報や、出会いの場となっているのがこういったイベントです。展示会や、IT系スタートアップ向けのイベント、若手起業家の集まり等々。いずれも、東京に一極集中している感が否めないのが現状です。

また、もしこうした東京開催のイベントに福岡から参加する場合、飛行機に乗って東京まで行く必要があります。こうした場合、交通費だけでなく、時間までも浪費してしまうことになります。

東京 <-> 福岡間は往復で約4時間かかりますが、空港からの移動も考えると移動時間だけで半日が潰れてしまう計算になります。

さらに、こうしたイベントは1枚数千円から数万円の高額なチケット購入が必要な場合が多く、交通費や宿泊費に加えての出費となると、在京企業に比べて情報収集という点ではかなり不利になってしまうと言えます。

2.投資家が少ない

起業家にとって最も大きな悩みの一つが、「いかに投資を集めるか」 ではないでしょうか。どんなに優れた製品やサービスであっても、それを市場に送り出して売上を上げるまで、売上を上げた後も事業を軌道に乗せるまで努力は尽きません。こうした時期に、利息の高い銀行からの融資ではなく、VC(ベンチャーキャピタル)やエンジェル投資家からの投資は非常に大きな利点があります。単に資金を得られるだけでなく、情報提供やアドバイス、顧客紹介など事業や経営に関する支援も受けられるのがメリットです。

しかし、こちらも福岡に限ったことではありませんが、地方に根差したVC、エンジェル投資家は多くありません。 また、東京の投資家からは地方に起業するということだけで倦厭され投資を受けられないこともあります。

福岡に拠点を構えるスタートアップの資金調達額は直近1年で総額30億円超えと言われています。 一方で、2017年の国内スタートアップ企業全体の資金調達額は2,921億円であり、福岡における資金調達の割合はそのうちの約10%であることが分かります。

3.起業家のコミュニティが小さい

2014年に国家戦略特区に指定されて以降、福岡市の開業率は増加し、2016年の調査では21大都市中1位(3年連続)となっています。

一方で、福岡の投資家からは「東京と比べて、起業家の数がまだまだ足りない」という声も上がっており、要因として、リクルートのような起業家を輩出する大手企業が少ないことが指摘されています。

さらに、在京のスタートアップのように大型資金調達をしたり、話題の新規上場企業となったりするような、ベンチマークとなる企業がまだなく、競争意識が低い傾向にもあるといえます。

その要因の一つに、福岡で開催されるイベントやコンテストにおける主催者、審査員、投資家、参加者いずれもが同じような顔触れであることがあるといえます。結果的に、いつもの仲間と話している感触では通常だと思っているスピードで走っていたら、一緒にスタートしたはずの在京スタートアップは、既に遥か前に進んでしまっている可能性が高いということを、意識しておかなければいけません。

4.外国人を受け入れる体制が不十分

福岡市は「グローバル創業特区」して、「グローバル」性にも力を入れていますが、まだまだ外国籍の方を受け入れる体制は十分とはいえません。 特に、日本語を話せない、日本に来たばかり、日本で就職した経験がない外国籍の方にとってはハードルが高くなっています。

中でも地方銀行における口座開設や、アパートやマンションの賃貸借契約においては非常に障壁が高い傾向にあります。賃貸借契約については、東京であれば、保証会社あるいは連帯保証人を選択することにより、審査が行われ契約という流れになります。しかし、福岡の場合は保証会社と連帯保証人を両方利用することが商習慣的に必須となっています。連帯保証人は「日本人」であることを当然要求されますので、上記の「ないない尽くし」の外国籍の方にとっては如何に苦労が多いかわかります。

事実として、福岡に拠点を構える外資系企業は22社となっており、構成比でみるとわずか約0.6%となっています。 また、従業者ベースでみると2.6%であり、決してグローバル化が進んでいるとは言えない状況にあります。

5.アクセス

福岡市はコンパクトシティといわれ、空港から市街地までのアクセスの良さが好評です。 しかし、東京駅からの距離を見ると博多駅から要する時間は、札幌駅からのそれと大きく差がないことが分かります。

札幌駅から新千歳空港までは快速で約40分かかる距離ですが、東京へ出張ということを考えるとその利点はあまり大きいとは言えないようです。

アクセス比較 「Yahoo! JAPANビッグデータレポートの到達所要時間ビジュアライゼーションマップより

また、福岡市内で最も利用者の多い福岡市営地下鉄の初乗り運賃は、東京や大阪といった都市に比べると割高で200円、4駅程乗ると260円(渋谷駅‐赤坂見附駅間は165円)となります。

初乗り運賃の比較

また、電車に代わる交通手段として福岡市内はバスが非常に発達しています。バスについては目的地の近くまで行けるという利点がありますが、恒常的に遅れが発生しており、数本前の便に乗る必要があるなど調整が必要です。

その渋滞の要因に、バスの本数の多さにあるともいわれています。博多駅や天神駅を目的地とするバスは、数分おきに出ており、信号待ちの車列に数台のバスが並んでいることも珍しくありません。

空路については、アジア地域へのアクセスの良さも利点の一つに挙げられることが多いですが、台湾や韓国との定期便以外は一日数便に限られており、欧米への就航路線は夏季のヘルシンキ便を除いて、就航しておらず国際線の利便性は必ずしも高いとは言えません。


地方特有の良さもあれば、まだ不利な点が残っています。こうした事実も事前にしっかりと受け止め創業地選びの判断材料にしていただければと思います。