事業の運営には様々な契約が付き物です。会社の事務所の賃貸借契約書にはじまり、秘密保持契約書、業務委託契約書、投資契約書等々。基本的に金銭が発生する事柄については、契約書も付いて回ります。

契約書関連業務には、確認、押印、収入印紙の貼付、管理と、アナログな業務がまだ残っているのも特徴です。そうした業務を、デジタル化し業務を簡素化する電子契約について、ご紹介していきます。

電子契約とは?

電子契約とは、これまで署名・押印が行われていた契約締結業務を、電子署名や電子スタンプを付与することで代替させ、さらにその管理も電子ファイルのままで保存することを指しています。

特にBtoB(企業間)の契約において急速に拡がりを見せています。日本の電子契約市場の80%超のシェアを占めるクラウドサインは、2018年11月現在30,000社以上に導入されており、その勢いが伺えます。

では、なぜそうした拡がりを見せているのかを紐解くために、電子契約のメリットについて見ていきましょう。

電子契約のメリット

1.押印業務が不要

従来の押印業務が不要になり、押印に要する時間を削減することができます。また、社内で内部統制がある程度構築されている企業においては、押印業務そのものについても承認が必要な場合が多く、こうした承認業務も不要になるのがメリットです。

2.郵送費、印紙税の削減!

郵送費、印紙税の削減

契約書を相手方と取り交わすのに要していた郵送費を削減することができます。また、郵送にあわせて用意していた送付状も不要になります。

さらに、印紙税法第2条により課税対象になる文書は、書面の文章を指しているため、電子ファイルはこれにあたらず、印紙税も課されることはありません。契約の額が大きい場合は数万円もの印紙を貼ることも必要でしたが、こうした収入印紙も不要になります。

3.管理が簡単

書面で管理をする必要がないため、社内にスペースを設けて管理する必要がありません。契約書は通常7年間法人税法施行規則第67条)取引の証憑書類として保存する義務がありますが、電子ファイルであれば7年分の契約書も場所をとらず保存が可能です。また、そうした7年分の契約書も、システム上の検索機能を使えば簡単に見つけることができます。

4.契約締結が迅速化

契約書が直ちに締結可能です。仮に北海道の企業が押印した契約書を、沖縄の企業に郵送した場合、速達でも翌々日の配達となります。しかし、電子契約を利用すれば、即時に締結が完了するため、急ぎで締結が必要な場合には非常に利便性が高いといえます。

また、こうした電子契約サービスは、スマートフォン上での締結も可能で、締結責任者が社内に不在であっても、場所を選ばす締結をすることが可能です。

5.BCP対策にもなる

BCP対策にもなる

近年大規模な自然災害が続き、BCP対策(事業継続計画)は企業にとって取り組むべき喫緊の課題の一つとなっています。

電子契約であれば、外部のデータセンターなどに保存がされるため、仮に自社が壊滅的な被害にあったとしても、PCさえあれば確認、締結が可能です。このように、電子契約は働き方改革が求められている中で、非常に効果的な策といえます。単にルーティンワークを簡素化するだけでなく、それに付随して必要となっていた紙の管理からBCP対策までと、幅広く効率化が進められます。

電子契約のデメリット

電子契約のデメリット

これが電子契約を導入する上で、一番大きいハードルになるかと思います。特に、上場企業においては、フローが社内規程でガッチリと決まっている場合がほとんどです。そのため、こうした新しいサービスへ対応するために、規程を変更するということには、なかなか至らないのが現状です。

2.一部契約書は書面による締結が必要

下記の契約書を締結する場合には書面での締結が必要になっており、全ての契約に対応できないというのが、デメリットの一つといえます。

  1. 定期借地契約借地借家法22条
  2. 定期建物賃貸借契約借地借家法38条1項
  3. 投資信託契約の約款投資信託及び投資法人に関する法律5条
  4. 訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売、特定継続的役務提供、 業務提供誘引販売取引における書面交付義務特定商品取引法4条etc
  5. 労働条件通知書の交付労働基準法施行規則5条3項

※労働条件通知書については、2019年4月1日から電磁的方法による交付が解禁されます。(雇用契約については以前から電子契約が可能でしたので、実務担当者にとってはあわせて対応が可能となり、利便性が向上します)


電子契約そのものについては、メリットが大きい一方で、導入について消極的な企業が多いことも事実です。そのため、全ての契約について電子契約を導入することは難しい状況にありますが、上手く電子契約を活用し、社内業務の効率化を図ってはいかがでしょうか。