日本では3月決算に次いで、12月決算の会社が多く、そろそろ決算を迎えるという企業も多いのではないでしょうか。そこで、今回は決算を終え、定時株主総会で承認された計算書類をもとに行われる「決算公告」について解説していきます。

決算公告とは

そもそも、決算公告とは何かご存知でしょうか。読んで字のごとく、「決算」の結果を「公告」することをいいます。決算公告は、法定公告と呼ばれる法律により公告を義務付けれたものの一つです。決算公告については、官報、日刊新聞紙、インターネットのHPへの掲載(電子公告)から公告方法を選択することになります。事前に、定款で公告の方法を定めていない場合は、官報を選択したとみなされます。

またその目的は、決算の結果(計算書類)を公告することで、利害関係者を含む一般公衆に財務情報を開示する目的があります。

決算公告は義務?

会社法第440条第1項の規定により、決算公告は、定時株主総会の終結後遅滞なく行わなければならない、とされ義務付けれれています。

また、原則として上場会社か非上場会社に関わらず、全ての株式会社は決算公告を行わなければならないとされています。

決算公告が不要な場合

例外として次の場合に該当する場合は、決算公告が不要とされています。

1.有価証券報告書の提出義務がある会社(会社法第440条第4項)

こちらは有価証券報告書といわれる書類を作成しているいわゆる上場会社が該当します。上場企業の場合、EDINETを通じて広く開示が行われています。また、上場企業のコーポレートサイトにおいては、IR情報として情報が開示されている場合がほとんどですので、それらに加えて公告をする必要はないというのが、この例外の趣旨となっています。

【用語】

EDINETとは、「金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム」のことで、有価証券報告書、有価証券届出書、大量保有報告書等の開示書類について、その提出から公衆縦覧等に至るまでの一連の手続きを電子化するために開発されたシステムであり、以下の目的の実現のため、24時間365日(定期保守等の計画停止期間は除く。)、稼働しています。(金融庁HPより)

2.HP上での計算書類の開示(電磁的公告)を行っている会社(会社法第440条第3項)

こちらについても、実質的に電子公告と同様に計算書類が公示されているという理由で、決算公告を別の媒体でする必要はありません。なお、定時株主総会の終結後、速やかに公告が必要な内容(後述参照)を、定時株主総会の終結日後5年を経過する日までの間、継続して不特定多数の者が提供を受けられる状態に開示しておく必要があります。

後述の電子公告との違いについては、簡単に言うと「電磁的公告」は決算公告のみをHP上で開示するのに対して、「電子公告」は決算公告含む全ての広告をHP上等で行う、という違いがあります。

決算公告のスケジュール

決算公告は簡単にいうと、次のようなスケジュールで行われます。

決算定時株主総会で承認決算公告

決算処理が終わった後、定時株主総会を開き作成された計算書類の承認を行い、その後決算公告をする形になります。

もし、電子公告を行う場合は、予め定款に定めがある必要がありますので、決算公告を行う前に、定款変更を行う必要がありますので、ご注意ください。

罰則はあるの?

罰則はあるの?

結論からいうと、罰則規定が会社法(第976条第2号)にあります。決算公告を怠った場合、百万円以下の過料に処せられるとされています。

しかし、現実的な問題として決算公告をしていない会社が多くあり、罰則の適用例もないのが実情です。これは、制度そのものを知られていないということと、掲載に費用が掛かること、悪い決算情報を敢えて公表したくないなど、まだ制度として浸透していないことが考えられます。

なお、だからといって決算公告をしなくても良いということにはなりませんので、筆者としては読者の方々に決算公告という制度を知っていただき、簡単にできるということをお伝えできればと思います。

決算公告の実務

さて、そこで決算公告の実務として、どのように決算公告を行うのかをご紹介したいと思います。

決算公告の内容

決算公告の内容については、会社の規模と公開会社かどうかによって、大きく4つに分類されますが、ここでは、非公開会社(株式譲渡制限会社)に限ってご紹介します。決算公告

下記で出てくる大会社とは、次のいずれかの要件を充たす株式会社のことをいいます。①資本金として計上した額が5億円以上②負債として計上した額の合計額が200億円以上

1.大会社以外の会社で非公開会社

この場合、賃借対照表の要旨のみ公告が必要となりますが、損益計算書の広告は必要ありません。賃借対照表の要旨は下記のように区分し記載します。

資産の部:流動資産、固定資産、繰延資産

負債の部:流動負債、固定負債 ※引当金を設けている場合は記載

純資産の部:株主資本※1、評価・換算差額等※2、新株予約権

当期純損益金額

※1 株主資本にかかわる項目は次に掲げる項目に分類する必要があります。(会社計算規則第141条)

   資本金

   新株式申込証拠金

   資本剰余金

    資本準備金

    その他資本剰余金

   利益剰余金

    利益準備金

    その他利益剰余金

   自己株式

   自己株式申込証拠金

※2 評価・換算差額等にかかわる項目は次に掲げる項目に分類する必要があります。(会社計算規則第141条 第6項)

   その他有価証券評価差額金

   繰延ヘッジ損益

   土地再評価差額金

2.大会社で非公開会社

上記「1.」の場合とは異なり、賃借対照表と損益計算書の要旨両方を公告する必要があります。賃借対照表の要旨については上記「1.」と同様ですので、損益計算書の要旨として掲載すべき項目を示します。

 売上高

 売上原価

 売上総利益又は売上総損失

 販売費および一般管理費

 営業利益又は営業損失

 営業外収益

 営業外費用

 経常利益又は経常損失

 特別利益又は特別損失

 税引前当期純利益又は税引前当期純損失

 法人税、住民税及び事業税

 法人税等調整額

 当期純利益又は当期純損失

決算公告の方法

決算公告の方法

決算公告の方法は、上述の通り官報、日刊紙、電子公告による方法があります。それぞれの方法について簡単にご紹介します。

官報

料金は日刊紙に比べて低く、インターネット上でも簡単に申し込むことが可能です。掲載料金はこちらを参考にしてください。

なお、官報への記載については、国立印刷局『法定広告について』で詳しく説明されていますので事前に確認することをお勧めいたします。

日刊紙

料金は官報に比べて高いですが、官報よりも購読者が多く周知力は高いです。日経新聞の掲載料金はこちらで確認できます。

電子公告

自社のHPに掲載すれば良いだけですので、上記2方法と違い無料で掲載ができます。なお、電子公告を行う場合は事前に定款で定める必要があります。また、電子公告を行うURLを登記する必要があり、URLが変更になった場合も登記変更を行わなければならないことに注意が必要です。その他にも、電子公告については注意すべき点がいくつかありますので、法務省の該当ページで事前にご確認ください。


会社の行う法定公告には、今回紹介した決算公告のほかに、合併公告、資本金額の減少公告、解散公告など非常に多岐にわたります。重要な変更や決定が生じる場合は、事前に顧問弁護士等に相談し、抜かりなく行えるようにしましょう。